イッツファイブピーエム
プレイ人数:1〜4人
対象年齢 :14歳〜
プレイ時間:20〜40分
みなさんが80'sと聞いて思い浮かべるのはどんなことでしょうか? ポップカルチャーの黄金期。未来という言葉が「夢」を内包していた頃。仕事終わりには街に繰り出し、みんなが心行くまで過ぎゆく時間を楽しんでいた時代。
今日ご紹介するタクティカルゲームズの2021年新作は、そんな時代のアフターファイブを思い起こさせるようなボードゲームです。映画やショッピング、バーやカフェを巡りたくさんのハピネスを集めたプレイヤーが勝ちます。まさに「遊ぶことが人生の目的だ」と迷いなく言えた、あの頃の再現です。
バブルが弾ける直前の90年代の初めに都会に出てきたアタクシ、実は80'sにはちょっとひねくれた印象を持っています。1番遊びたい盛りの直前に弾けたバブル。氷河期世代筆頭にとって、それは蜃気楼のような時代でした。ちょっとこじれた頭で遊んだトリビュート80’sなアフターファイブゲームは果たしてどんな時間になったのか。さぁ「イッツファイブピーエム」をご紹介いたします!
【注】本記事でご紹介しているコンポーネントはデモ版です。カードの色や材質など、製品版とは異なる場合があります。ご留意くださいませ。
イッツファイブピーエム(It's 5pm)ってどんなゲーム?
イッツファイブピーエムは「時間とお金」という現実と同じリソース管理に悩むライト寄りのゲームです。各プレイヤーは朝になると仕事に行き、夜になると仕事から帰ってきます。往来の道すがらカフェに寄ったりショッピングを楽しんだり公園で癒されたりしながらハピネスポイントを集めます。
職場と自宅間の移動には時間を、ショッピングやカフェなどの体験にはお金や時間がかかります。職場で長く働けばお金はその分多く手に入りますが遊ぶ時間は減ってしまいます。時間が減ってしまうと移動できる距離が短くなってしまうので、遊ぶ場所が限定されてハピネスはちょっとしか集められません。
カードを移動するごとに1時間ポイントを消費するのです
毎ラウンド1枚づつ配置できる街カードは自分が楽しむ目的だけでなく、他のプレイヤーも訪れる街の一部となっていきます。自分の持っている目的カードを達成するために街カードの配置に悩み、何を優先し何処でアフターファイブを楽しむのか。リアルライフと同じように時間とお金の使い方に悩みながら1週間を過ごし、1番多くのハピネスを集めた人が勝利するゲームです。
ボードゲームデザイナー&アーティストについて
デザイナーはタクティカルゲームズの前作「パフューマリー」や、ボードゲームのKickstarterプロジェクトとしてインディーズレーベルでは国内最高額を集めた「アクアガーデン」を手がけた戸塚中央さん。
中量級の緻密なゲームデザインが魅力という印象のあった戸塚さんがパッパパリラリいうてる80年代のアフターファイブを題材にキャッチーなライトゲームを制作したというのはちょっと意外。その意図はぜひ本人にお会いした時に伺ってみたいです。
コンポーネントの魅力
シティポップ全盛の頃の都会の雰囲気満点であります。当時流行した洋楽でも流しながら遊んだら超盛り上がりそうなアートワークは、パフューマリーと同じくタクティカルゲームズのスズキヨウタさんが手がけています。
コマひとつひとつの造形が異なるコダワリはタクティカルゲームズ作品の魅力。
80'sベストヒットが流れてきそうな街タイルの背面!視覚的にも当時の雰囲気が感じられる品のあるデザインはぜひ手にとってみて欲しいのです。
イッツファイブピーエムのルールと遊び方
今回もタクティカルゲームズのお二人(ヨウタさんとハヤトさん)にお招きいただき遊ばせていただくことが出来ました。
ゲームの開始時、街にはまだ職場へのルートしかない状態。ここに各プレイヤーが街カードを一枚ずつ配置しながら月曜から金曜までの時間を過ごしていくのです。
時間とお金トラック
その日使える時間ポイントは曜日によって異なります。なぜか週末に向かって持ち時間が伸びていくという仕組みに当時のブラックさがにじみ出ている感ありますよ。24時間働けますか?ってコピーも流行ったね....
目的カード
ハピネスをもらえる目的カードは指定された場所を指定された順番で訪れればOK。簡単かと思いきや1時間足らない、、といった絶妙なチューン。昭和なキーワードが並んでいるのはたまたまです。
ハピネスを集められる施設には定休日が
曜日ごとにお休みになる施設があります。これはゲームごとにランダムセット。
街カード
手番では街カードを1枚配置します。自分の住んでみたい街を作っているような感じも楽しい。もちろん目的カードをよく見て効果的に配置するのですよ。
ハピネスは職場に向かう朝の通勤でも集めることができます。朝は公園やカフェに寄り、職場では働いた分の時間を消費してお金ポイントをゲッツ。そしてアフターファイブに街に繰り出し、またハピネスを集めるのです。
イッツファイブピーエムの魅力は?
わかりやすいルールで遊び始めのハードルも低く爆笑しっぱなしの60分でした。80年代ズバリを遊び歩いていた世代ではないものの、あの当時の楽しげな雰囲気やエピソードに似たハプニングも発生し、自然とゲームに華を添えます。
お仕事ウェーイ!!(違
「遊び慣れたこの街」的な何かが出来上がる
プレイ終盤、金曜にはテーブルの上に立派な街が出来上がります。足繁く通ったバーや、お気に入りの公園などが自然と出来ます。
「セレクトショップやミニシアターを抜けると隠れ家的なボドゲカフェ」みたいな、この街ならでは!的な場所も出来上がります。ゲームが終わる頃には「ぼくらはあの頃、たしかにそこに居た」みたいな感覚にもなる。もはや卓上のショートショート。
実際にありそうなエピソードトークも楽しい
ゲームを進めている中で「あー、そういうことある(あった)わw」みたいな感覚になる場面がたくさん起きます。
- バーや映画館、デパートが集まる山手エリアに住む妄想セレブ
- 夜遊びがすぎて終電を逃す(時間切れ)というアンハピネス
- コンビニ3つハシゴして、スナック菓子決定戦を目指すロンリネス
- 月曜から木曜までは朝活。花金は夜にパリラリ豪遊
ゲームの中での行動をドラマチックに脚色して遊ぶのがかなり楽しい。とくに80'sというわけではなく、誰にでも起きただろうエピソードを想像しながら遊ぶとかなり盛り上がると思います。
ゲームでは「花金のラスト遊びすぎて自宅まで帰れず、ハヤトさん宅に押しかけて玄関で酔いつぶれたヲッさん×3体」が本日のハイライト。そして愛すべき酔っ払い達が献上したハピネスポイントで、見事ハヤトさんが勝ち抜けるというドラマチックな結末になりました。わずか2点差。。。ぐぬぬ....負けちゃったけど、本当に楽しかったから良し!
まとめ
いやぁ。。。かなり楽しかったです。(●ↀωↀ●)✧
時間とお金のやりくりに汲々とするゲーム的な楽しさに加えて「あぁ、そんな事あったよなぁ...」みたいにひっそりあの頃を思い出しながらプレイする楽しさ。ライト系ではあるけれど、しっかりポイントを押さえて悩めるのでボードゲームを遊んだ満足感がしっかり味わえます。
今日の夜は映画館とショッピングをこの順番で回りたいので、何時間働いて、あの道を通って....とまるで現実にそこを訪れるかのような計画を立てますが、後一歩のところで時間が足らないとかちょいちょい起きるのです。そんな立ち回りを見越しながら街カードの配置にも悩むなど、遊びまわるためにかなり一生懸命になってました。
最近はCOVID-19の影響もあり自宅に引きこもりがちでしたが、たしかにあの頃、毎日街に出ていた時はワクワクしながら予定を立ててたよなぁ...
プレイ後は「外に遊びに出かけよう!」と誰かに背中を押されているような気分になれたのですが、ふと気がつきました。書いたような懐古的な感想を持ってしまった時点で、もはやアタシ正真正銘のオッサンなのでは!?(知ってた..)
【販売情報】
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【関連情報】
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