2021/03/18 プロモーションムービーが公開されてたので追記しました!
Amalfi(アマルフィ)
プレイ人数:1〜4人
対象年齢 :12歳以上
プレイ時間:120〜180分
Designer:Takeo Yamada
Artist:urabe_rocinante,Sai Beppu
Publisher:uchibacoya
uchibacoya
Amalfi ⛵️ promotion video by @bg_himitsuri pic.twitter.com/hGtpoSQjxH
— uchibacoya (@uchibacoya) 2021年3月17日
ボードゲームが好きな方で、少し重めのゲームやユーロ系のしっかり悩ましいゲームが好きな方はもうどこかで目にしているかもしれない。アマルフィは国産ながらも珍しい重量級ゲームで静かな話題となっているボードゲームだ。しかもソロプレイにもしっかり対応しているという個人的に嬉しい仕様。
今回はパブリッシャーのuchibacoyaさんからアマルフィを寄贈していただいたので、ちょっとワクワクしている。いやワクワクしすぎでむしろ冷静に落ち着いている。美しいアートワークにも注目した「アマルフィ」を今日はご紹介したいと思います!
アマルフィってどんなゲーム?
アマルフィのデザイナーはブロガーでもあるTakewatchさん。ブログでの作品考察や翻訳記事などで目にした事がある方は多いのではないだろうか。長年温めていた構想がついに結実した作品で、本作についても積極的に情報発信をされている。目を通しておくとよりアマルフィを楽しめるかも知れない。
ゲームの舞台となる海洋国家アマルフィは中世イタリアで隆盛を誇った都市だ。小さな海岸が点在するその都市は現代でも「世界で一番美しい海岸」と呼ばれる街。しかし栄華を誇ったアマルフィも時代の流れに押され、徐々に衰退し寂れていく。そんなアマルフィをもう一度盛り立てようとする商人たちが本ゲームの主人公だ。もちろんプレイヤー自身がその役割を担うことになる。
メカニクスは船コマを使用するワーカープレイスメント。コマをリソースとしても活用するメカニクスを採用していて、コマの使いどころにも多様性がある。中世イタリアを代表する偉人たちが描かれた人物カードや海図・契約などのカード類が多彩な戦略を生みだすのも魅力。ワーカープレイスメントの魅力だけではなく、人物カードによる拡大再生産のコンボなど、プレイしていて気持ちの良い楽しさが味わえるよ。
なお、ソロプレイでは皆さん300点を目指している方が多いみたい。ちょー無理ゲ感あるけども、その過程が楽しいので良し。
美しいアートワークとコンポーネント
国産ボードゲームの中ではかなりレベル高いコンポーネント。
幻想的なイラスト
アマルフィというボードゲームが記憶に残る理由の1つとなっているのが、美しいアートワークであることは間違いない。イラストはボクセルアーティストのウラベロシナンテさん(@urabe_rocinante)が担当している。鮮やかな色なのに柔らかい滲みを残した独特のイラストはどこか観る人の記憶にある風景に重なるようで、現実には決して観ることができない中世アマルフィの風景を追体験しているような感覚になる。
完成度の高いアートディレクション
ボードゲームデザインの領域では数多くの作品を手がけられている別府さいさん(@allotment31)もアマルフィのアートディレクションで参加。ボード類のトータルデザインやDTPやコマのデザインなど細部にも配慮されていて、本作のクオリティをグッと引き上げている。
uchibacoya製コマの完成度
アマルフィのコンポーネントでひときわ目立つ木製のコマたち。この木製コマはアマルフィのパブリッシャーでもあるuchibacoyaオリジナルのコマだ。(uchibacoya piece)コマのデザインは言わずもがな、コマそのもののクオリティもぜひ実物を手に取って欲しい。造形、プリントのみならず手触りがめっちゃ良い。いやホント、重さとか手触りとか重要よ?
アマルフィのルールと遊び方
アマルフィに同梱されているルールブックは一部解りづらい部分などもありましたが既に修正済みと対応も早い。
第2版のルール(改訂版)
BGGで初版のルールを改訂した第2版のルールがすでに公開されている。ルールの初版で解りづらかったとの声があった部分は明確化されているよ。遊ぶ場合は最初からこちらを参照すると良いと思う。
ゲームの準備(ソロプレイ編)
もう各所でプレイレポなども上がっているため、今回はソロプレイのための準備について簡単に説明しておくよ。ソロでもめっちゃ楽しいのでオススメ。
メインボードの準備
- メインボードをテーブルの中央に配置
- パン3>小麦2とパン3>香辛料3のアクションエリアに、使用していない色の船コマを置く
- 称号カードを4枚選んで配置(通常は3枚)
- 決算カードを4枚選んで公開して配置
- 海図カードをよくシャッフルして山札にし、メインボードの横に配置する
- 海図カードの山札から1枚づつボード上に6枚公開して配置する
- 契約カードをよくシャッフルして山札にし、メインボードの横に配置する
- 契約カードの山札から1枚づつボード上に6枚公開して配置する
個人ボードの準備
- プレイヤーは個人ボードと個人用拡張ボードを1枚づつ受け取る
- プレイヤーは任意の色の船コマを1色17個のセットを受け取る
- 船コマを自分の個人ボードの海エリアに6個、造船所に6個配置する
- 船コマをメインボード左下の得点トラック「0」位置に1つ配置する
- 船コマをメインボード右下の得点用プロットエリア「0」の位置に1つ配置する
- 船コマを3個、称号カードのそばにまとめて配置する
- 植民地コマ6個を個人ボードの所定位置に配置する(食料トラック右端)
- パンコマを1つ受け取り、「3」の位置に配置する(通常は手番順で初期位置が異なる)
人物カードの準備(基本ルール)
人物カードの準備はちょっと特徴的なので注意しよう。
- 人物カードから終了時(黄色)カード8枚を別に分けておく
- 終了時(黄色)カードから「1」の数字が書かれた2枚を取り出しておく
- 人物カード右下の数字「1」「2」「3」「4」「無」の種類別に分ける
- 「1」と書かれたカードをまとめて手札とする(終了時(黄色)カードも含める)
- 手札に入れなかった終了時(黄色)カードを全てまとめて箱に戻す
- 残った人物カードを全てまとめてよくシャッフルし山札とする
- 人物カードの山札から4枚を公開し、メインボード下部に公開する
人物カードを準備する時の注意点(基本ルール)
人物カードには右下に1〜4までの数字が書かれていて、それはプレイヤー別の1つのセットを表す。プレイヤー1には「1」のセットを、プレイヤー2には「2」のセットを渡しゲームを開始するのだ。なお、プレイヤーが存在しないカードセットからは終了時(黄色)カードを抜き、箱に戻す。残った人物カードについては全てまとめて山札として使用するよ。
応用ルール1•2
複数人プレイでは基本ルール以外にもドラフトを入れたルールが2つ用意されている。これが中々に熱いルールで、慣れたらぜひこちらで遊んでみたくなるようなルールだ。ソロでは味わえないのが残念だけど、ボードゲームに慣れた人は最初から応用ルールで遊んでみても良いと思う。
アマルフィでの手番の流れ
アマルフィは4つのラウンドに別れていて、それぞれのラウンドは3つのフェイズで構成されているよ。4ラウンド終了時の得点を競うゲームだ。各フェイズは以下の3つを順番に進めていく。
1)アクションフェイズ
アクションフェイズで行えることは様々だ。1人1手番行ったら次のプレイヤーに順番が移る。それを全員がパスするまで繰り返すよ。各アクションの詳細はルールブックを参照しながら確認して欲しい。船コマの配置とアクションは後述するよ。
a.船コマの配置
b.海図/契約カードの獲得
c.造船
d.人物カードのプレイ
e.プレイ済みの人物カード(アクション系)の効果を得る
f.パス(ハードパス)
2)食糧フェイズ
全員がパスしたら食糧フェイズに移る。造船所エリアで一番右に見えている食糧の値をトラックから減らす。
3)決算・準備フェイズ
決算カードから1枚選び、得点処理を行う。選んだカードは裏向きに伏せて置く。さらに以下の処理を行う。ソロプレイでの処理なので通常とは異なる点があるのは注意してほしい。
- 海図カードエリアの一番右のカードを破棄(通常は共通海図エリアへ移動)
- 空いた海図カードのスペースに山札から補充を行う
- 契約カードの右から2枚を破棄、空いたスペースに山札から補充
- 各アクションスペース・本国スペースにある船コマを全て海スペースに戻す
これに通常だとスタートプレイヤーマーカーを次のプレイヤーに渡す処理がある。決算・準備フェイズが終了したのち、次のラウンドが始まるよ。
船コマの取り扱いには注意しよう
アマルフィのゲームを面白くしているポイントに、この船コマの取り扱い方がある。船コマには2つの役割があるよ。
1)ワーカーとしての役割
各アクションスペースを占有して、その効果を得るための役割。ワーカープレイスメントでいうところのワーカーとしての使い方で、一度スペースに置いたら次のラウンドまで戻ってこない。
2)リソーストークン(駒)としての役割
アクションスペースやその他のカード効果により、香辛料や小麦、財宝といったリソースを得ることが出来る。その得たリソースを示すトークン(駒)としての役割も持っている。
例えば小麦2を得ることが出来るエリアに船コマを1つ配置すると、同時に小麦スペースに2つの船コマを配置する事になる。(合計3つ)
資源エリアで得たリソースを使いたい場合、資源エリアから船コマを海スペースに戻すことでそのリソースを消費出来る。小麦を買い付けに行く買い付け人が乗った船は、買い付け交渉が終わるまで(ラウンド終了後)帰ってこれないが、積荷を乗せた船は交渉人の帰りを待たずに貿易を始めることができるイメージだろうか。お金が必要に慣れば買い付け人(アクションスペースの船コマ)が帰って来ていなくても積荷を売っぱらって通貨に変えることが出来る。契約カードや海図カードを手にいれるには、指定されている資源をターリに変換して獲得する必要があるので、次の1手・2手先を考えながら船コマを派遣していくのが楽しい。
人物カードの獲得は「購入アクション」に非らず
人物カードを新たに獲得出来るのは以下のパターンのみで購入する事ができない。
- アクションスペースに記載された効果
- 人物カードの効果
人物カードは色々な効果があり、上手くプレイできれば非常に助けになるカード。その人物を手札に加える(招聘する)にはお金ではない何かが必要だと覚えておこう。
アクションフェイズは事前に確認する事をおすすめ
書いてあるものを読むとなにやら細かいような印象を受けるけど、実際に遊んでみるとスッキリとしていて混乱することもないスマートなルールだ。船コマの動きについては実際にコマを動かしてみて、効果を得るところまで進めてみるとわかりやすいと思うよ!実際に2回目のプレイでは混乱なくスイスイ遊べたので、あまり重いゲーム慣れしていない方でも大丈夫と思う!
アマルフィの魅力を全力で推す
uchibacoyaさんから寄贈していただいた時には褒めないとダメよねって思ってましたが、そんな心配は全くの杞憂でした。無問題。いやマジで。思ってたよりもずっと面白かったです。なんかすみません。
結論から言うと、アマルフィは個人的にかなり好きな感じのボードゲームです。難易度というか悩ましさと、それに比例したプレイ時間も本当にいい感じ。ソロなら60分前後でワンプレイ終わります。船コマの使い方も、セイルトゥインディアのギチギチに苦しいところから、苦しさだけを除外したようないい感じのまとまり具合。あーして、こーして、、と独りブツブツいうのにちょうどいいのです(表現
人物カードも歴史好きならうんうん頷いちゃうような人物が並んでいます。カードの効果そっちのけで手札に加えたいが為に、いらぬアクションを選んでドボンとかなりました。(ダメなやつ)
前半は船コマの造船や海図カードの獲得のためのアクション選びでワーカープレイスメントっぽい楽しみがあり、後半は人物カードと海図カードの活用から契約カードをゴッソゴソ集める拡大再生産的な楽しみが待ってます。しかも拡大再生産が上手く言った時の伸びていく感じは本当に気持ち良い。なんつーかねー、、ボドゲ初めて遊んだ頃の感動っていうか、ストレートにワクワクする感じ?っていうヤツに似てました。
Boardgamegeekのルールウェイトは「3.0」ですが、勝ち筋をしっかり見極めるためには頭を使ってしっかりしたプレイングを行う必要があるから。ルールそのものは難解ではないので、臆することなく遊んで欲しいです。競うのも良いですが、アマルフィの商人になりきって自分の得点を伸ばしていく事に注力しても楽しいはず。
そして何と言ってもこの美しいアートワーク。イラストデザイン、ボードなどの醸し出す雰囲気、木製コマの手触りとか質感もとっても美しい。中世ヨーロッパなど西欧の歴史が好きな方は遊んでいると本当に気分が良くなると思います。
あと、かなりソロプレイおすすめです。対人プレイできないのでそれはよくわかんないけど、ソロプレイだけでここまでバランスよく悩めるゲームって結構少ないんじゃないかなと思います。人物カードの使い方や海図カードのセレクトなど、まだまだ得点するために考えないといけない事は多いですが、その考えることが多いのも良い。短すぎず、長すぎずという60分はとても楽しい時間になる事でしょう。そうでしょう。
1人でしっとり悩みたいという方にも是非オススメしたいアマルフィ。せめて250点はとってみたい...とれるか?とれるのだろうか...w
【アマルフィ販売情報】
uchibacoyaさんで販売されてます。uchibacoya.stores.jp