Ostia Pirates(オスティア 拡張)
ローマ帝国時代、オスティア・ポルトゥスは海運業を中心とした商業で発展を遂げた港湾都市です。六角形の独特なその港は13代ローマ皇帝トラヤヌスの時代に拡張され、ローマ帝国500年の栄華とともに繁栄を極めました。
富を求めてこの街に群がる商人たちに船を貸し、大きな名声を手に入れんとする「Ostia(オスティア)」に新たな展開をもたらす拡張プロジェクトがもう間も無くKickstarterに登場します。マンカラをベースにした非常に悩ましいプレイが楽しかったオスティアに加わる新しい要素は「Pirates」。そう海賊です!今日はその中身が気になって仕方がない期待の新拡張「Ostia Pirates」をご紹介いたしますよ!
【注意事項】
本レビューはuchibacoyaよりサンプル提供を受けて作成しています。実際のKickstarterプロジェクトで制作する製品版とは内容が一部異なる場合がありますのでご了承ください。なお、サンプルにはストレッチゴールの内容が反映されている部分もあるため、詳細はプロジェクトページで必ず確認しましょう。
プレイ人数:2〜4人
対象年齢 :14歳以上
プレイ時間:100〜120分
Designer:Totsuca chuo
Publisher:uchibacoya
2024/03/26
The campaign is officially over and all Stretch Goals have been unlocked!
Boardgamegeek
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— uchibacoya (@uchibacoya) 2024年1月12日
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基本のOstia(オスティア)ってどんなゲーム?
基本となるオスティアの詳しいルールや内容は以前のレビューでご紹介しているのでそちらを見ていただくとして、個人的な好きなポイントを挙げておくとこんな感じ。
- マンカラが悩ましく程よい中量級
- 木駒の造り、手触りがヤバい
- ロマン漂うアートワーク&でかい外箱
オスティア基本セットのルールやレビューはコチラ!
マンカラは収入とアクション選択のどちらにも影響がありますが、この違いに悶々するんだねぇ...ボドゲ好きだけどそんなに上手くないって自覚のあるプレイヤーには、ここが非常に魅力でもあるんです。ゲーム中、ほぼずっとマンカラのこと考えて終わりますが気がつくと2時間はかからないかなっていう収まりの良さ。
そしてuchibacoyaのボドゲを触ったことがある方ならお分かりいただけると思う木駒のクオリティも良くて個人的にはポンタ船駒の手触りがイチオシです。あと箱がデカくてロマン感じるアートワークがコレまた映えます。ラセルダタイトルと同じくらいのサイズ感なので満足感もたまりません。
Ostia Pirates(オスティア パイレーツ)で追加される要素
Pirates拡張ではその名の通り「海賊」を始めとした要素がいくつか追加されます。最近よく見るモジュール式ではなく用意された全ての要素を追加して遊ぶ拡張です。
海賊船
オスティア・ポルトゥスを出立したコビタ船は終着地に向けて航海を行いますが、その途上に海賊船が現れます!海賊船には黒と赤の2種類あって、特に終着地近海に現れる赤い帆の海賊船は凶暴です。海賊船の現れる交易タイルを通過するには武器を使って撃退する必要があります。
無事撃退するとイベントボードに並んだ宝箱が手に入り最後に勝利点をもたらしてくれます。ただし宝箱が次第に獲得されていくと汚名に影響する共通イベントなどが発生するため撃退するタイミングは慎重にならないといけません。また撃退した海賊はその海域には存在し続けるので、後から来るコビタ船も海賊との戦闘は避けられないようになってます。ふっ....
武器
海賊を撃退するためのリソースとして「武器」が加わります。武器は交易アクション時に金貨を使用して購入することが出来ます。武器は海賊の撃退に消費する他、兵士の雇用にも必要となるリソースです。航海を進めると割と早い段階で必要になるため金貨の管理と交易アクションがより重要になってくるのよね。基本セットの「資源」とは区別されるので注意が必要ですぞ。
兵士
船団を守るためローマの屈強な兵士を雇用することが出来ます!兵士は武器1としてカウントすることができるため海賊の蔓延る遠洋へ航海するには必須ですな。
雇い入れるにはそれなりのコストを払う必要があるのですが、雇い入れた数に応じて宝箱のVP単価が上がります。2人雇えば黒い海賊船なら武器なしで撃退可能。やはりローマ兵は屈強なのです。
支援者と出身地
Piratesにはローマ帝国の中枢に影響を持つ支援者が現れます。各プレイヤーはゲーム開始時に2名の候補者から1名を指名することができますよ。支援者はかなり強力な能力で追加の勝利点を与えてくれますが力強い支援者であれば背後には黒い噂も絶えないというもの。その分多くの汚名を引き受けることになります。
また、プレイヤーの出身地コミュニティからの支援を受けることができるようになります。出身地は資源の獲得を手助けしてくれる効果を持ちますが、やはりコミュニティには一定の黒い噂が付きまとうため汚名も引き受ける事になるのです。こちらも2枚のタイルから1つをゲーム開始時に選択することが可能です。
汚名
支援者・出身地に記された汚名は最後の勝利点計算でかなり大きな影響を及ぼします。汚名キューブ1個につき-7VPという結構無視できない影響度....しかもゲーム中に汚名を返上する機会はそうそう多くはありません。汚名を返上する機会を逃す事なくゲームを進められるかが一つのポイントになるのは間違いなさそうです。
イベント
イベントボードには5つに区切られたセクションに宝箱が並びます。各セクションの宝箱は左上から右下に向かって獲得して行きますが、宝箱が尽き次のセクションに進むタイミングでイベントが発生します。このイベント発生時、タイルに示されたアイコンの所持数によって自分の汚名が増減する可能性がでてくるのですが、ここで生まれる最大差が14VP。。。マジか。
海賊を撃退し宝箱はたくさん欲しいのですが...イベントのタイミングによっては汚名を引き受けるハメに。良きタイミングに合わせて船を進めないと他のプレイヤーに出し抜かれてしまうかもしれない、でも宝箱は欲しいというジレンマがぐぬぬ。。。
ローマ市街地
基本セットでは航海で訪れた交易地の建物をオスティア港に配置することが出来ました。本拡張では建物駒をなんとローマ市街地に配置することが出来るようになります。ただし建築コストとは別にボード(一部のタイルにはさらに追加コストも存在)に描かれているコストがかかります。しかし繁栄の真っ只中にあるローマ市街に建物を建てる効果は大きく、即時効果や終了時効果は強力なものが揃っています。市街地タイルはそれぞれ1枚のみなので、いち早く抑えることができるかが勝利に影響することは間違いありません。
Ostia Piratesのヤバいコンポーネント
オスティアは上質な木駒の触り心地にウットリしたボドゲだったのですが、このPirates拡張では一目見たら忘れられなくなりそうな木駒が追加されてます。
兵士と宝箱、そして黒と赤の海賊船!
なんか見たことないレベルでヤバいんだけど...(⊙ꇴ⊙)
ボード上で並べて妄想したの図(実際は海賊船だけ配置するよ)
兵士と宝箱のプリント、どうやって印刷してるのか謎ですよ。特に宝箱ってどう印刷してるんでしょうかね・・・?そして赤と黒の帆をもつ海賊船、こちらは2つの木材を貼り合わせてるような作りになってます。まさか帆まで木製で表現してくるとは....木駒の無限の可能性を感じたこのコンポーネントはuchibacoyaならではじゃないかと。海賊船とかマジ眺めてるだけでウキウキしてきます。
海賊船が並んだ海域にロマンが迸る
もともとが薄いブルーグリーンで構成されたアートワーク。このメインボードに海賊船が並んだ時のワクワク感がたまりません。
なんか色合いもバランス良いんだよねー。コマだけ浮いちゃうかと思いきや、とても良い感じのアクセントになってます。拡張込みで全て並べるとかなりのスペースが必要になることは玉に瑕か。でも海外は大きいボードが流行ってるっていう話もどこかで耳にした気もするので、グローバル展開するならこのくらいゆとりがある方がいいのかもですね。
ソロプレイはできる?
残念ながら今のところソロルールが存在しておりません。海賊船にソロでぶっ込んでいくという野望はまだ叶わず。いやでももしかしたらストレッチゴールとかで追加されちゃったりしないかしら?
Otaru1899も確かストレッチゴールでイナゾーが登場したし....プロジェクト公開を待ちましょう。
Ostia Pirates(オスティア パイレーツ)の感想・まとめ
Pirates拡張、楽しいと思います!というかオスティア単体よりも拡張入れて遊んだ方が断然楽しい気がするな。全体的にどういった戦略をとって勝利点に結びつけるのか、プレイヤーの選択肢の幅が広がる拡張です。
マンカラの悩ましさは基本セットのまま、航海中のせめぎ合いと言いますか「先に進みたいんだけど今は嫌」みたいな状況が発生します。良いタイミングで船を進めるには資源の管理をよりしっかりする必要がありますが、拡張ではそこに武器や兵士の雇用など抜き差しならない要素が追加されています。資源の収入をコントロールするのがマンカラなので、数手先にどうなってるのか常に周りの進み具合に目を光らせないと出し抜かれてしまうという緊張感。
あと支援者や出身地タイルはプレイの方向性をしっかり与えてくれるため、むしろ初見で遊ぶにしても遊びやすくなる印象もありました。プレイヤーごとで非対称の方向性が支援者と出身地によってもたらされるので「ぼく、初手から迷子」みたいにならないのってありがたい。
追加要素の種類だけをみると数があるのでややこしく感じたんですが、実際手を動かしてみると意外とすんなり頭に入る整理されたルール。数手番遊べばなんとなく「お、コレでいけるんでは?」のような閃きを掴むことができると思います。この閃きが勘違いだったと後で嘆く結果になるのもコレまたボドゲあるあるの楽しさとするならば良し!(良いの、か...?)
基本セットではマンカラのコントロール感、リソースの管理など内向きの要素が強かった印象のオスティアがPirates拡張を加えることでかなりインタラクション寄りにゲームの楽しみが変化する感じ。語弊をおそれずいうならば多少リソース管理にうっかりしちゃっても最後まで楽しめる感じが増した印象。
デザイナーの戸塚さんはもっとこう「ギッチギチに悩んで見て?あんまり動けないけど、でも楽しいでしょ?」みたいなゲームを作る印象があったのですけどこのPirates拡張では「どれ選ぶの?あ、それなのね?でも間違ったらホラホーラ...」みたいな少し自由度がある悩ませ方。あ、意地悪なのは同じですよ。(褒め言葉よ?)
これは大海原にはためく帆を見上げ、オスティア・ポルトゥスで名を上げる妄想も捗るってもんですな!トラヤヌス帝にお目通できる日も近かろうそうであろう。
Kickstarterのプロジェクトの開始は2024/2/27予定!基本セットも再販されるようなので、気になってる方は要チェックでございます。ダブルレイヤーの個人ボード再販されるかなぁ.....?楽しみだな!
【Ostia Pirates(オスティア パイレーツ)情報】
現在Kickstarterの事前登録受付中!事前登録を行うと4つの特典が無料で貰えるらしいのでまずは登録しておくと良いですぞ。今回のプロジェクトに合わせて基本セットと初回プロジェクト時に発売された拡張も再販されるとのことなので前回手に入らなかった人もチャンス到来。