とある奉行所、ろうそくが照らす奥座敷で。
「越後屋、なんだ夜分に。珍しいな。何用か?」
「今日は手土産を持ってまいりました」
「ほう。手土産とな。何!?山吹色の菓子?ほぅほぅ。」
「お代官様のお口にあいますかどうか・・・」
「や、越後屋。これは結構なものだな。重さが実に良い按配だ。」
「これでどうかひとつよしなに....」
「越後屋、ヌシも悪よのぅ・・・」
みなさんこんばんわ、コモノです。
一生に一度くらいは悪者ってやって見たくないですか?悪いことには人を惑わす甘い魅力が漂ってますでしょ?なかなか現実の世界では悪者の愉しみなんて味わうことは出来ませんが、今日は存分に悪徳問屋の気分を味わえるボードゲームをご紹介しますぞ。
ゲームに登場する人物は悪徳問屋と悪代官。もう実に定番中の定番。最終的に桃太郎侍に切って捨てられたとしても、遠山の金さんに啖呵を切られたとしても、菓子の包みに忍ばせた金子をお代官様に届けて大きな利権を得るゲーム。ふひひ・・・
それが「ヌシも悪よのぅ」です。
プレイ人数:3~5人
プレイ時間:30~60分
対象年齢 :15歳~
昨年から当ブログのアクセスランキング上位に位置しており、そのモテっぷりが半端ない「ハコオンナ」ですが、「ヌシ悪」はそのハコオンナを製作したEJIN研究所さんの2015年秋作品。強烈なデザインイラストが1度目にしたら目の裏に焼きつくこと請け合いのボードゲームでございますな。
コモノ、和物系をこよなく愛していることを何度かブログでもご報告済みですが、この「ヌシも悪よのぅ」は江戸が舞台の競りゲーム。江戸って言われちゃったら、これはもう何が何でも手に入れて「どうかよしなに・・・」って言いまくってやりたい衝動に駆られておりました。ところがやっぱり品切れというか見かけることが少なくて中々手に入らなかったんですが、昨年末に運良くイエローサブマリンで入手することができました。しばらく遊ぶ機会がなくてボドゲ棚にしまってあったんですが、最近ようやく仕事の忙しさも一山超えたので、、、( ̄ー ̄)ニヤリッ
遊ぶ準備がてら、開封レビューをお届けしますぞ!
〈開封〉
・コンポーネント
カードゲームなので全部カードでございますな。あとはルール&サマリーシート。
ルールは公式HPでも確認できるよ。ハコオンナの時も思ったけど、EJIN研究所さんのボードゲームはテーマとカードデザインの統一感がよろしいな。
・カード
金子札。
不思議と袖の下っぽく見えるのは色合いか。
こちらがお代官様。金子を受け取っちゃう人。
ゲームにはお代官役のプレイヤーって居ないんだけど、いたらある意味で楽しかったろうね。
こちらが商人札。この方々がお代官に取り入って利権を集めまくる。
ボードゲーム業界では名高い駿河屋がおりますな(関係ないでしょうけどw)。お代官様とズブズブな印象しかない越後屋、「びっしりと敷き詰めてございます」とか堂々と言いすぎな甲州屋、もう顔つきだけでも悪いことしてます感溢れる蔦屋と続きますが、やはりコモノのイチ押しは紀伊国屋。
「少々、重たいお菓子にございますが・・・・」
いやもう袖の下渡す界隈では名言として後世に伝えていただきたい。万が一にもお代官様に迷惑がかからぬように気配りが行き届いた言葉のチョイス。甲州屋とは比べ物にならない奥ゆかしさじゃないですか。。。商人はこういう気配り忘れちゃいけませんよ。
悪徳札。利権を手に入れるためなら、悪徳の限りを尽くすわけです。
仕事人がいる・・・
先生、お願いしますって仕事人より強いとか何。
おお、お座敷遊びで骨抜きにしたりできるのか。そうなのか。
抜き荷とかえぐい。
こちらが利権札。衣食住それぞれ利権がある。
この辺りにお金が集まるのは今の世の中も同じですな。
そして災厄札。
御用改めが災厄扱いなのがよろしいですな。
〈ゲームの流れ〉
このゲームは3名からなので、ぼっちプレイ不可。なのでざっくり流れのご説明。こまかな部分は省くけれど、マニュアルにかなり丁寧に書かれているので読めば迷わないとおもう。
まずは場のセットアップだよ。
金子札をそれぞれの金額別に山札にしてならべ、その下に悪徳札を表にならべる。
利権札を裏むきに山札とし、一枚めくったら準備完了。
最初にお代官様を受け取る商人(プレイヤー)は一番最近日本的なものを見たり、触れたりした人から手番を開始するよ。
こんな感じで並べておくと雰囲気でるっす。
手番中に行えるアクションは以下の3つ。
1)買い物をする(悪徳札を場から購入する)
当然お買い物に使った金子札は両替商(山札)に。支払いは公正にな。
2)両替をする
細々と百両札が増えてきたらまとめちゃいましょう。
3)袖の下を出す
1と3はパスしても構わないけど、袖の下は絶対出すよ。空箱や悪徳札を混ぜて他の商人をいかに出し抜くかがポイントになるな。
この出された枚数で他人の袖の下の額を予想しながら利権を奪い合うのだ。ブラインドビッドなんでドキドキするな。
「どれどれ・・・」
「少々、重たいお菓子にございますが・・・」
「紀伊国屋、これは良い按配であるな。」
「おぅおぅ、越後屋か。これ、こちらに。」
「これでひとつ、どうぞよしなに.......」
「うむうむ、苦しうない。」
「お代官様!びっしりと敷き詰めてございます!」
「これこれ甲州屋。そんな甘いものばかり腹にはいらんわ・・・」
なんて会話を楽しみながら、袖の下をめくっていくのだな!お代官様役は札をもっている人がやったら盛り上がると思うぞ。
紀伊国屋が三百両、越後屋が二百両、甲州屋が二百両だが、越後屋と甲州屋は悪徳札を混ぜて居た。
甲州屋が出した今回の仕事人。
「お代官様をお連れしている商人の出した袖の下は全て破棄される。」
今回お代官様をお連れしているのは。。。
紀伊国屋!(゜Д゜;)!」」
紀伊国屋が出した三百両は菓子箱の中で重い石にすり替えられていた。的なヤツやな。
コメの利権争いから紀伊国屋が脱落した。
越後屋と甲州屋が二百両で同額。この場合は争っている商人札に書かれている能力値を参照し、現在争っている利権と同じ能力値がより高い商人のモノになるよ。 今回の利権はコメなので「食」の能力値を参照する。「食」の能力値は越後屋が3、甲州屋が1なので越後屋が利権を手にするのだな。
さらに越後屋、抜き荷の悪徳札を混ぜている。
利権札の額面の倍額ということは・・・・千両!!!
袖の下が二百両、差し引き八百両の儲け。
お代官様もウハウハ。さっさと紀伊国屋に見切りをつけて越後屋と昵懇。
「越後屋、ヌシも悪よのぅ...」
〈まとめ〉
プレイの流れを把握するためにココまで簡単にテストプレイを1人で流してやっておりましたが、ヌシ悪、超楽しいと思うよ!
ルールもそんなに難しくないし、最後の袖の下をめくりながらワイワイ利権を取り合うのはかなり盛り上がりそう。商人やお代官様になりきってセリフを言い合いながら遊んだらかなり楽しいんではないだろうか。災厄札のように場をガラリと変える効果のある札も混じっているので後半逆転も十分狙えるしサクサク進む軽さも良いと思う!
「ええぃ、いいではないか、いいではないか」
「お代官様、あーれー。。。」
的な悪徳札が無いのはちょっと残念だったのだが、まぁ良いのだ。
日頃真面目にお仕事頑張っている旦那様方、たまには悪徳商人になりきって暴利を貪る快楽を味わってみるのは如何だろうか?
これはプレイ楽しみだな!
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「ヌシも悪よのぅ」はアマゾンには売ってないのだ。
EJIN研究所さんの作品はちらほらあるけど、ハコオンナはまだプレミア。
これも気になっている。。。