『パフューマリー』(PERFUMERY)
画像引用:PERFUMERY – TACTICAL GAMES
プレイ人数:2〜4人
対象年齢 :14歳〜
プレイ時間:40〜60分
「香り」は時を経ても記憶を繋ぐと言われ、人の脳に直接働きかけます。香水はその香りの個性で人を魅了し、気分を変化させてくれる情緒のあるアイテム。PERFUMERY『パフューマリー』はシャネルNo.5がこの世に誕生し、香水がより豊かな可能性を手に入れた1920年前後を舞台に、新しい香りを創り出し最高のブランドを築き上げようとする人たちの物語です。
2020年ゲームマーケット秋にTACTICAL GAMESが贈る新作「パフューマリー」のテーマは『香水』。美しいアートが目を惹くこのゲームはワーカープレイスメントとドラフトを組み合わせた中量級のボードゲームです。組み上げたエンジンが新たな香水を生み出すその一瞬が気持ち良いパフューマリー。今日は一足早くプレイする機会に恵まれましたので、お上品にご紹介したいと思いますわよ。
【注】本記事でご紹介しているコンポーネントはデモ版です。カードの色や材質など、製品版とは異なる場合があります。ご留意くださいませ。
『パフューマリー』(PERFUMERY)ってどんなゲーム?
いつものようにTACTICAL GAMESのヨウタさんとハヤトさんにインストから御指南いただきプレイしました。これまで遊ばせてもらったTACTICAL GAMESの作品の中ではルールの量は多い方。中量級の中でもちょこっと重めよりのゲームです。手札のレシピカードをプレイしながら香料(エッセンス)を作りだすエンジンを作り、生み出したエッセンスから香水を作るのが一連の流れ。
香水にはVPが記載されていて、それが自分のブランドの価値になるのです。ゲームが終了した時点でVPを1番多く獲得したプレイヤーの勝利となるよ。
ほほぅ....これは、あれだ。インストを受けていて好きなヤツだ!と思いました。(強いとは言ってない)
パフューマリーでは自らがプレイしたカードでリソースを変換する場やエッセンスを格納できるボックスがカードの上に出来上がります。ジャンルとしてはタブロー(エンジン)ビルディングにあたるとの事。
ゲーム中にリソースの変換やリソースの格納場所など、いくつかの要素を含んだ仕組みを作り上げるジャンルの事で、イッツアワンダフルワールドやギズモが同じような仕組みを採用しているよ。
ボードゲームデザイナー&アーティストについて
デザイナーは戸塚中央さん。戸塚さんといえば昨年「アニマルシェ」のヒットが記憶に新しいですが、この度TACTICAL GAMESにジョイン。その第1作目がPERFUMERY『パフューマリー』です。戸塚さんのデザインするゲームは展開に無駄がないといいますか、悩ましさも楽しさも織り込んだ複雑なパズルなのに完全球体みたいなゲーム(伝われ)をデザインされます。アタシの楽しい!は、きっと戸塚さんの掌の上なのです。
そしてアートワーク全般を担当されたのはTACTICAL GAMESのスズキヨウタさん。ご自身もゲームデザイナーとして活動されていますが、TACTICAL GAMES作品のアートワークもほぼ担当されてます。なんという多才か。ゲームのデザインもアートワークも出来るとかずるい。
コンポーネントの魅力
ボックスアートで目を惹きつけるパフューマリーですが、コンポーネントも美麗なのです。
美しきカードたち
パフューマリーのコンポーネントの中で目を惹くのはやはりカード類。淡い色使いをベースに、香水の液体を思わせる鮮やかな色で彩られたカードはみてて飽きないですよ。香水の香りに関するフレーバーも1枚1枚に記載されていて全部で40種類。プロの調香師の方による監修だそうなので、実際の香水でも同じような表現があるやも。
登場するパフュームカードは全部ユニークだそうなので、気に入った香水を作る事にこだわっても面白いかもしれないぞ。
可愛いコマたち
前作ツリーラインアベニューでも存在感のあった木製のコマたちは本作でも健在。
香水の原料となるエッセンスコマ4種とワーカーとなる調香師コマ。小さいのだけどこの丁寧な造形は相変わらず光っております。やっぱクジラコマ可愛いよな。
『パフューマリー』(PERFUMERY)のルールと遊び方
画像引用:PERFUMERY – TACTICAL GAMES
ゲームは8ラウンド制。各ラウンドは3つのフェイズで構成されているよ。VPは各パフュームカードの左下に描かれた数字だ。VPの合計点を競うことになるのだな。
- 開発フェイズ
- 調香フェイズ
- クリーンアップフェイズ
具体的な遊び方はTACTICAL GAMESの公式ページに詳しく解説されているのでそちらを参照しましょう。もはやルールブックいらず。
パフューマリー公式PV
開発フェイズ:さぁ、伝説の香水とやらを造りあげようでは無いか。
まずはワーカーを置き、アクションを選択しますよ。アクションには自分のレシピを作るアクション以外にも、ワーカーを増やしたり万能に使えるエッセンス(フラスコのやつな)を獲得したりできます。
初期のワーカー(調香師コマ)は2つしか無いので、慎重にアクションを選ぶのですね。しかし、調香師コマ可愛い.....(=ↀωↀ=)
コンポーネントの美しさを愛でていてもゲームには勝てないので今回はちょっと頑張ってみようかと。毎回体験プレイでコテンパンにされるハヤトさんの不敵な微笑みを今回こそなんとかせねばなるまい。ひそやかな闘志を胸に、ディスプレイからカードをピックし手札に加えますよ。このドラフト、最初は良いのだけど後半非常に悩ましい事になる。
4列あるサプライディスプレイからはアクションエリアを挟んだ縦一列を全てピックアップするルール。ピック直後は手札が一気に増えるけど、カードをプレイする際のコストも手札のカードで払うので案外手札にカードが溜まらないような工夫がされてます。
どの香水を作るのか、必要なエッセンスを確認しながらレシピカードを並べて各ノートのためのエッセンスを作っていくよ。組み上がったレシピの中で拡大再生産の仕組みが出来上がったりもするので、ここを上手く組み上げればそのあとの調香でゆとりが生まれるのです。
カードのピック&プレイを繰り返す事になるのだけど毎ラウンド花びらが舞い散るようにカードが循環します。カードが手札とディスプレイをひらひら移動するので、ダイナミックなプレイ感が楽しいぞ。
調香フェイズ:それは魔法の香りを生み出す一瞬。
3つのノートから香りの元になるエッセンスを生み出していく調香フェイズ。基本は花のエッセンス3つが生成されるので、そこからカードの効果を使って新しいエッセンスを生み出していくよ。
花のエッセンスを使い、香草と花のエッセンスを生み出す。材料となった花は失われる。
カードの矢印が示すように、材料として使用できるエッセンスは各ノート内で下のエリアからピックして行かなければならない点に注意。ノートの中で少しづつ香りを変化させていく工程が妙にリアルっぽくて気分はもうハイブランドの調香師っすわ。
トップノートは最初に感じる香り、ミドルがその後、ベースは残り香らしいよ?
トップノート、ミドルノート、ベースノートの3つのノートから生み出されるエッセンスはパフュームカードの材料。トップノート用に生み出されたエッセンスをベースやミドルノートの材料に使用する事は出来ないのでそれぞれのノート毎に計算を行う必要があるのだけど、これが何故かずれてしまう。特にゲーム後半では1つ足りない!とか、よく起きた。バッチリ手札で見えているはずなのに、何故なのか.....
クリーンアップフェイズ:香りとはかくも儚いもの...
エッセンスは揮発性が高いので専用のボックスがなければ消えて無くなってしまうとの事。使い切れなかったエッセンスは蒸発してしまうのです。なるほど。。。。特に貴重な動物性エッセンスが消えていく様は悲しい。あぁクジラよ。
完成させた香水カードに保管用のボックスがあれば、エッセンスをそこに移して次のラウンドに持ち越す事が出来るのです。
意外と伸びた得点、最後の失策
ゲーム後半でディスプレイに並ぶパフュームカードはそれだけで高得点。
いかにも高級品といった雰囲気をまとうカードたちなわけですが、それらを無駄なく生産するためのコスト計算にマイ頭脳はキュウキュウ言っておりました。
それでも7ラウンド目、狙っていた香水を作る事ができて意外にも伸びてくれた最終得点。これはイケるのでは!と思ったのだけど、、、だけどね。1つ作り損ねたの。
クジラが足らなかった。龍涎香は幻よの.....(。-з-)チキショ
やはり最後に勝ち抜けていったのはハヤトさんでしたよ....ぐぬぬ。
パフューマリーの魅力は?
香水という上品なアイテムがテーマのパフューマリー。プレイ中は悩ましいだけではなくて、エッセンスをサクサク精製していく気持ち良さもかなりある。サクサク精製してパシパシ香水を作っていくの、気持ち良いのですよ。これぞエンジンビルディングの醍醐味でありましょう。
ゲームの最終局面で見えてくるプレイエリアも綺麗の一言。香水というテーマだけど、視覚的にも非常に満足度が高いですな。複数の要素を考慮しながらのドラフトを、ワーカープレイスメントという方法で制御する洗練されたデザイン。美しいアートワークと絡まって出来上がっていくプレイエリアは上品な香りが漂います。キュッと楽しさの詰まったボドゲタイムを堪能できる事間違いなし。ワーカープレイスメントの苦しさというよりは、エッセンスを作り出すコンボの爽快感が印象に残るゲームでした!
今回は時間の関係で1回しかプレイできませんでしたが、次こそもうちょっと上手くイケる気がしてならない。(気のせいかもしれない、かもしれない....)
まとめ
香水という身近そうでちょっと遠いアイテム。マリリン・モンローが寝るときにまとったというNo.5のエピソードを妄想しつつ『香水』という世界にヒタヒタひたりながらプレイする小一時間はとても気分が良いものでした。香水を日常的に使う方がプレイするなら、お気に入りのエピソードを思い浮かべてさらに楽しくプレイできると思うのです。
それまでに無かった香りのアコード(ハーモニー)を作り出す事に成功したNo.5。稀有なアイテムにはマリリン・モンローとの逸話のように後世へと語り継がれる話題に尽きません。 そんな誰かの記憶に残るような素敵なブランディングを願った人々の追体験、PERFUMERY『パフューマリー』で堪能できますぞ(ↀωↀ)✧
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