ども。コモノです。
「神曲」と聞いてダンテ、と答える人はどのくらいいるのでしょ?「え、かみきょく?」って言われそうな令和の日本でございますが、今日ご紹介するのはファンタジーの世界でも参照されることの多い、ダンテ・アレギエーリの古典的文学「神曲」をテーマにしたボードゲーム「インフェルノ」です。舞台となるのはその名の通り、3部で構成されている神曲の最初となる「地獄篇」。
ゆっくり導かれながら地獄を巡るダンテ。その傍で責苦に苦悶の表情を浮かべる罪人たちの魂。なんとも神秘的で重苦しいテーマと雰囲気を目一杯盛り上げてくれるデラックスなコンポーネントを見て、どうにも我慢できなかったアタシはすでに強欲の罪を犯しているのかもしれません。己を振り返り地獄の深淵を覗き込む「インフェルノ」をご紹介いたしますよ!
インフェルノ(Inferno Deluxe Edition)
プレイ人数:1〜4人
対象年齢 :14歳以上
プレイ時間:45〜120分
国内発行元:ふるりん本舗(レギュラー版)
- 価格: 9900 円
- 楽天で詳細を見る
Boardgamegeek
インフェルノってどんなゲーム?
冒頭でも書いた通り、ダンテの「神曲」をモチーフにしているインフェルノ。
「地獄篇」でダンテがヴァージルに案内されながら巡る、9層の地獄の旅路が再現されています。そう、舞台となるのは地獄そのものです。ただしプレイヤーはダンテ本人となるわけではありません。当時のフィレンツェで影響を持たんとする一族(一家)の一つを受け持ち、一家のメンバーをフィレンツェの至る所へ派遣します。
目的は罪を犯した人たちを告発して名を挙げ、財を成し一家の名声を高める事。罪人を告発することで宮殿への覚えをめでたくして、フィレンツェでの影響力を増そうとするのです。勝利点の呼び名は、正義の名を借りた売名がゆえの「悪名点」なのですかな?
めっちゃ重いテーマ性。しかし正義とは?
プレイヤーは自分たちの一家が繁栄することのみを考え、他の人々はどうなっても良いかのような振る舞いで罪人たちを告発し、地獄へ送った魂をより深い層へと導きます。ダンテはその地獄の様子を遠巻きに伺いながら、静かに一歩一歩、地獄の階段をより深くへと降りていきます。
地獄は9層に分かれており、罪ごとに色がついた各層へと罪人の魂を導き悪名点を重ねます。神曲が書かれた当時のフィレンツェは汚職と収賄、教会をも巻き込んだ政争に塗れていたようです。人々の腐敗の様子を淡々と眺めながら下層にゆっくり降りていくダンテ。罪人の告発とは名ばかりの行為であり、ダンテの目には虚栄心を満たす行いに写ったのかもしれません。そんなフィレンツェで悪名を1番集めたプレイヤーがインフェルノの勝利者となります。悪名点という言葉の意味、考えちゃいますな....
インフェルノ、重いのはゲームのウェイトだけではありませんでした。
テーマも重いわね。。(||゚Д゚)))
でも実はそんなに重くない
ワーカプレイスメントでお馴染みの、スペースを占有するシビアなアクションではないのでゲーム自体にめっちゃ苦しいプレイ感はありません。しかし罪人の魂を導いた場所(盾)に描かれた区域のアクションしか選べない縛りや、地獄内の魂を誰でも自由に動かせるルールが濃ゆいインタラクションをもたらしてくれます。
またゲームごとに2つ出てくる守護者(ソロは1つ)は、プレイヤー同士のインタラクションをさらに強めてくれます。積極的に守護者を使うことで自分も他のプレイヤーも思った通りの展開にならないようになってます。勝つためには他のプレイヤーの行動にもより注意を払うことが求められるということか....
最終得点(悪名点)は罪トラックとプレゲトーンのパラメータを掛け合わせた得点が加算されます。罪人の魂を導き入手する悪名点だけでなく、最終得点をどのように得るかを考えたプレイングが重要になりますな。
各種アクションやルール自体はそこまで複雑ではないものの先々まで見通した計画が求められるインフェルノ。派手さは感じないものの実にもったーりと考えさせられる重量級のボドゲです。
神曲、ふっ...深いな.....(꒪ཫ꒪; )
地獄も9層あって深いしな。うほほ.....
インフェルノ(Inferno Deluxe Edition)のコンポーネント
今回入手したのはデラックスバージョンなのです。ダンテの神曲がモチーフって聞いたらデラックスしか目に入らなくなってしまった問題はありますが、結果ポチって大正解でございました。
収納しやすいインサート
あらかじめ付属するインサートで、ほぼ全てのコンポーネントが収納できる設計。しかもトレイはそのままテーブルに出せばゲーム中にも使えてしまうという便利アイテムになってます。準備もとても楽になるインサートは本当にありがたいですよ!
地獄感をましてくれる守護者ミニチュア
インフェルノでは赤・黒の守護者がそれぞれ3つ、計6種類の守護者が用意されています。(リテール版ではミニチュアではなくペーパートークンになるぞ)
デラックスエディションではさらに赤黒それぞれ1体、計2体が追加され合計8種類。デラックスエディションのミニチュアは造形も凝っていて地獄の様相がグッと盛り上がること間違いなし。リテール版のペーパートークンもかなり美麗なイラストなので雰囲気は十分に感じられると思います。
魂コマのカッティングも非常に細やか
導かれ、地獄の底へと向かう魂コマの胸にはカッティングが施されています。細かなところがまたいい感じなんよねぇ。。。インフェルノの世界観に最高に没頭できるコンポーネントとなっているのがこのデラックスエディションの魅力でございます!
インフェルノのルール・遊び方
おおまかな手番の流れを説明しておきます。細かな処理やアクションごとの注意などは割とあるので、ルールブックやサマリーシートをよく確認しましょうな。
手番の流れ
手番は2つのフェイズに分かれております。
1:地獄フェイズ
魂を地獄へと導くフェイズ。以下のいずれかを選択して実行します。
a)墓地にある罪人の魂を地獄に移動させる。アケローン川を渡るため1ドラクマが必要
b)地獄に立つ魂を下層へ移動させる。魂と同じ色の層にたどり着いたら、そこで魂は横倒しになり以降は移動できなくなる。(悪名点を獲得できる)
2:フィレンツェフェイズ
フィレンツェ市街でのアクションフェイズ。以下の3つのうちの1つを選択して実行しますよ。
2-1)フィレンツェ市街のアクション
家にあるコマ(貴族 / 浮浪児)を1つとりフィレンツェ市街のいずれかの場所に配置してアクションを実行する(8種類)
2-2)自分の一家コマがある場所で罪人を告発する
罪人を告発することで同色の罪トラックを進める事ができる。またダンテが下層へと1つ歩みを進める
2-3)親族会議を開く
2-1 / 2-2のいずれのアクションもできない場合は親族会議を開き、2悪名点を失い以下のいずれかを行う。
・自分の塔、またはいずれかの場所から一家コマを1つ家に戻す
・自分の塔から樽1個か来客1名をサプライに戻す
フィレンツェでのアクション選択は地獄フェイズで魂の進んだ盾の影響を受けます。そのため地獄の魂の移動はアクションを考慮した盾へ移動する必要があるので注意が必要になるよ。また地獄フェイズで魂が移動できない場合は「突然の死」が訪れ、ゲームが強制的に終了となってしまうので気をつけましょう。
魂の移動とアクションのつながり
魂の移動、アクションの選択やその効果についてはルールブックをしっかり読んで確認しておきましょう。この縛りがとても悩ましいポイントでもあります。
盾のマークと4つの地域のつながりが頭に描けると少しコントロールが効く感じします。(多分気のせい...)何度か遊ぶと細かいなと感じたルールもすんなり入ってくると思うぞ。
ソロプレイはできる?
ソロプレイは可能です!基本は目標点をクリアするタイプなので大枠のルールには変更はないのも嬉しい。さらにソロには難易度とチャレンジ目標が用意されています。
ソロならば地獄をより理解できるらしいので、もう少し1人2役で基本ルールを頭に入れてからチャレンジしたいわね。
インフェルノ(Inferno Deluxe Edition)の感想・まとめ
コンポーネントに惚れてポチった感は否めないインフェルノでしたが、遊んでみた感想としては「我が判断に一片の悔いなしっ!」といった感じです。決して派手に盛り上がったり高揚感たっぷりになるボドゲではないんだけど、この地味さ加減も好きなんですわ。。テーマと相まってさらに好き。
実は名前だけは知ってたけど、ダンテ・アレギエーリのこともそんなに知らなかったので今回遊ぶにあたって色々情報を調べました。
ダンテにはなにやら愛しの君がいて残念ながら悲恋に終わってしまったとか...それが神曲にも登場するベアトリーチェなのね。そしてベアトリーチェはボックスの上蓋の裏にこっそり印刷されていました。こっそりなのにめちゃ神々しい。神曲では第3部の天国篇に出てくるお方ですね。
これはまぁ、惚れるわ...それは天国篇にも出てきちゃうわね...ベアトリーチェとの別れのあと、ダンテはフィレンツェでの政争に巻き込まれて街を追われ、遂には流浪の身となってしまったようです。その経験から神曲が生まれたと。神曲そのものを読まなくてもダンテの身に何が起きたかを知ってからインフェルノを遊ぶとなんとも言えない気分になります。
やりたい事をするべきか、それとも干渉すべきか、それが問題だ
優先順位の問題なのかなとも思いますが、インフェルノはインタラクションがとても濃いボドゲです。やりたいことだけで進めていると思わぬ妨害を受けたりすることもありそうです。運の要素は低めなので状況把握がキモかの。
赤と黒に別れた守護者たちの能力は、地獄での魂のあり方に大きく干渉します。守護者によって展開もかなり変わりそう。最初のゲームで登場させたゲーリュオーンは地獄の層にお邪魔物を配置していく守護者でした。最初ルールよく分かってなかったうちは「下に行くのに飛び越えやすくていいじゃーん!」とか思ってましたが、得点計算の時にコヤツのいやらしさを死ぬほど味わうことになりました....
得点計算時に罪トラックを参照するんですが、地獄の各層に何も置かれていない空いた盾があるとその数に応じて得点計算の係数(プレゲトーン)が強制的に下がるんですよね...
ゲーリュオーン、超ヤベェやつだった...
つまり相手の邪魔に使えばめっちゃ効果高い。気がついてなかったというか。。。ルールちゃんと読みましょう。守護者の能力把握はとても大切です。
フィレンツェの市街でも
よくよく考えたら浮浪児をさらってきて一家のために働かせるって結構ヤバい。でも浮浪児を得るアクションエリアは干し草で、キャッキャウフフしてる若人のイラストだったりします。当時フィレンツェの貴族たちのロクデナシっぷりがサラッとイラストになってるところも凄いわけで、ダンテはそんな世に結構がっかりしていたのかもしれないなと。
罪人の魂、貴族たちの政争など歴史上の出来事として学ぶことはあっても、現代においては実感できるものではありません。「インフェルノ」ではそんな当時に思いを馳せつつ、名声欲にとらわれた一家の行いをトレースします。
守護者にはゲーリュオーンのように得点を阻むような能力もいれば、ミノタウロスやプルートーのように自分に利する能力をもつ守護者もいるので都度戦術を変えていかなければなりません。どんなプレイが最適解なのか、数度遊んだだけでは掴みきれない感じがとてもゲーマーズ感あって好きなボドゲでした。この「悪名点」という意味、考えちゃうんだよねぇ。
決してパァァァ!って盛り上がるような感じのゲームではないんですが、考えに考えつづけてなお上手くいかないようなもどかしさがあるインフェルノ。セットアップの簡単さもあって重量級ながら遊びやすく、渋い魅力のあるゲームでした。何度か繰り返し遊んでみたら、煉獄への光は見えるんだろうかね....
勢いにまかせてポチっちゃったけど、買って良かったですぞ(⊙ꇴ⊙)!
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