本日は小箱ながらもグッと詰まった駆け引きが楽しめるカードゲーム「クー(Coup)」と、その拡張「改革」のご紹介です。いわゆるブラフ系の騙し合いが堪能できますぞ!
クー(Coup)日本語版
プレイ人数:3〜6人
対象年齢 :13歳以上
プレイ時間:15分
New Games Order
クーの初版は2012年。イギリスで出版されているけど、その後各国でアートワークが異なるバージョンが多数リリースされている。今回ご紹介するNGOの日本語版はオリジナルとアートワークなどが同じバージョンで、とても雰囲気の良いゲームだぞ。
クーのフレーバー
説明書の冒頭に、とても素晴らしい一文が掲載されているので引用したい。
腐敗し弱体化した宮廷が治める、陰謀渦巻くイタリア都市国家。貴方が扮するのは、この都市国家における一家の長です。権力への道を汚れた手で切り開き、都市を手に収めるのです。他の諸家が持つ影響力を削ぎ落とし、国外追放していきましょう。生き残る家はわずかに一つ。貴方はその座に着けるでしょうか。
もうこの文章を読んだだけで、気分はイタリア都市国家です。実権を握るためにあんなことやこんなことを平気でやってのけた中世イタリアの権力闘争を体験する訳ですな!都市国家ってなにさ?って方はフィレンツェとかヴェネツィアをイメージすると解りやすいと思うぞ。
クーのコンポーネント(内容物)
クーは片手に収まる程度の小箱で、内容物はカードと金貨トークンのみ。カードの枚数も実はそんなに多くなくて、小箱の半分は金貨トークンが入っている。
この枚数で?と思ってしまうような少ない枚数だけど、遊び終わった後はそんなこと気にならないようになってると思います。
クーのルール・遊び方
まずはゲームの準備から。
準備
- 人物カードを伏せてよくシャッフルし、各プレイヤーに2枚づつ配布(手元に伏せて置く)
- 残った人物カードは伏せたままテーブルの中央に配置し山札とする
- 各プレイヤーに早見表を各1枚、金貨を2枚づつ配布
- 残った金貨はひとまとめにしてテーブルの中央に置きサプライ(国庫)とする
- スタートプレイヤーを適当な方法で決める
ゲームの目的
クーでは「最後まで生き残ること」を目指します。他人に足を引っ張られても、暗殺者を仕向けられても、とにかく生き残るのです。手元に伏せた2枚のカードは自分の宮廷での影響力を指し示し、ゲーム中なんらかの指示で「影響力を失う」事になった際に1枚づつ公開されます。公開されたカードの人物は死亡した事になり、2枚とも公開させられた場合、その家は宮廷での影響力を失い没落衰退の道を辿るのですな!
手の内というのは他人に知られた時点で人生は終わるんですね。大変ですね。
手番の流れ
各プレイヤーの手番では以下のような流れでゲームが進むよ。
- 手番プレイヤーのアクション
- ダウトの宣言・事実確認
- 金貨の処理
- 妨害(ブロック)の宣言確認
- ブロックに対するダウトの宣言・確認
- 宣言に対する処理の実行
3)以降の手順はダウトが失敗した時にのみ行われるよ。
ダウトの処理
ダウトは1名からのみ発せられる。被ダウトプレイヤーは自分の影響下にあるカードをめくり、ダウトが成功した(嘘が露見した)場合、被ダウト対象のプレイヤーは1影響力を失う。ダウトが失敗(宣言が嘘ではなかった)場合、ダウトを発したプレイヤーは即座に1影響力を失う。被ダウトプレイヤーは公開した人物カードを山札に戻し、よくシャッフルしたのちに1枚引き伏せて自分の影響下に配置する。
7種類のアクション
手番プレイヤーが選択できるアクションは全部で7種類ある。3つが一般行動、残りの4つが人物アクションだ。それぞれのアクションには条件が設定されていて、幾つかのアクションはダウトとブロックの対象になる。
収入
ダウト・ブロックの対象外。金貨1枚を国庫から得る。
援助
ブロックの対象となる。金貨2枚を国庫から得る。侯爵を持つプレイヤーからブロックされる事がある。
クー
ダウト・ブロックの対象外。宣言時、誰か1人を対象として影響力を1つ排除できる。金貨7枚を国庫に支払う。
徴税〈侯爵〉
ダウトの対象となる。国庫から金貨3枚を得る。 誰からもブロックされない。
暗殺〈刺客〉
ダウト・ブロックの対象となる。宣言時、誰か1名を対象として影響力を1つ排除できる。金貨3枚を国庫に支払う。また女候を持つプレイヤーにはブロックされる事がある。
交換〈大使〉
ダウトの対象となる。山札から2枚引き、うち1枚と自分の影響下にあるカードを入れ替える。
強奪〈船長〉
ダウト・ブロックの対象となる。対象者1名から金貨2枚(2枚未満なら全て)を奪う。大使または船長をもつプレイヤーからブロックされる事がある。
クー拡張「改革」
プレイ人数:2〜10人(7〜10名プレイには基本セットが2つ必要)
対象年齢 :13歳以上
プレイ時間:15分
「改革」での変更・追加要素
フレーバーに宗教派閥が加わり、ルールに追加要素があるよ。
拡張ではなんとキリスト教の宗派というフレーバーが加わる。カトリック系とプロテスタント系のどちらかに所属し、クーをプレイする。同じ宗派のプレイヤーは「暗殺」「強奪」「クー」の対象とする事ができない。また「援助」をブロックする事もできなくなるよ。
アクションの追加
新しいアクションとして以下の2つも加わる。宗派に関わるアクションで支払う金貨は国庫ではなく「Almshouse」と呼ばれる場所に収められる。
宗派の変更
ダウト・ブロックの対象とならない。金貨を支払い宗派を変える事ができる(自分/1枚・他プレイヤー/2枚)
横領
ダウトの対象となる。影響下に「侯爵」がいない場合は 「Almshouse」から金貨2枚を奪う事ができる
プレイ人数の拡張
クーの基本セットを2つ用意する事で最大10人まで遊ぶ事ができる。7人以上のプレイをするときは2つセットが必要になるぞ。
7〜8人プレイ時 :手札は3枚づつ
9〜10人プレイ時 :手札は4枚づつ
クーの面白いトコ
やはり何と言っても「嘘をついて良い」ところだ。自分の影響下にいないキャラクターであっても「居る」振りをしてダウトやブロックをしても良いのだ。
例えば右隣のプレイヤーが「暗殺」を自分に向けて仕掛けてきた時、影響下に女候がいるとは全く限らない。しかしクーではそこが問題ではなく、影響下に女候がいなくてもブロックを宣言して良いのだ。同じことは暗殺を仕掛ける刺客に対しても言える。つまり、あたかも真実かのように振る舞えば何も問題は無いのだ。
レイヤーの宣言やダウト・ブロックの結果を記憶し、影響下の人物の入れ替えに目を配る。常に影響下の人物カードを予測しながらダウトやブロックを駆使していく。もともと少ないカードの種類と枚数が、運の要素をギリギリまで下げてくれる。それはもう現実世界の不確定要素と然程変わらない。
イタリアでの権力闘争が、現実味を帯びゲームで再現されるのだ。権力への指摘という行為が諸刃の剣だという事も、2枚しか手元に置く事ができない人物カードが如実に表してくれる。 少ないカード構成なのに、なんというスリリングな駆け引きかと...(◎_◎)!
「嘘は人生のスパイス」というキャッチフレーズを持つコモノックスのツイッターアカウント。これはもはや「人生はクー(Coup)である」という事だな?!
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