じっくりミレー&名画Box ver.1
プレイ人数:2〜6人
対象年齢 :6歳以上
プレイ時間:5分〜
デザイン:だんらんゲームズ / 川口洋一郎
今日ご紹介するのは「じっくりミレー」です。ちゃがちゃがゲームズさん2019春の作品だ。ゲームタイトルもテーマに沿ったもので、初めて見たときから凄いなぁ。。と思っていたボードゲーム。子供たちとワイワイ遊ぶのに楽しそうだな!と、いつかポチるリスト入りしていた「じっくりミレー」なのですが、なんとちゃがちゃがゲームズさんから製品版を提供して頂けちゃいました!
ずっと気になっていた「じっくりミレー」、今日はじっくりその魅力についてご紹介したいと思います。今回はちょっと真面目かもしれないぞ。
じっくりミレーとは?
ゲームとしてのターゲットは子供も視野に入っていると思うのだけど、今回はあえての大人目線でじっくりミレーを見てみたい。
作品タイトルの意味は「じっくり」「見る」という意味だと思っている。ミレーはきっと画家のミレー?たぶん「落ち穂拾い」で有名なフランソワ・ミレーだと思うんだけど、個人的にミレーというとミレイ、ジョン・エヴァレット・ミレイなのです。ミレイはちょっと思い入れのある画家。そんな理由もあってじっくりミレーのタイトルはずっと心に残っていた。ミレー違いなのだろうけど、まぁこれは極く私的な理由。なんにせよ心に残るってのは大事。
じっくりミレーは世界の名画を題材に、参加したプレイヤーたちが絵画の細部(人)にフォーカスをあて自由に情景(気持ち)を想像し、その答え合わせを通してコミュニケーションを楽しむゲームとなっている。(子供にもわかりやすいように人をテーマにしている)
芸術家役のプレイヤーは題材の名画から一部分を切り取り、新たな意図を与えて絵画を再構築する。当然自分が切り取った小さな額縁の中の情景を、自分なりに考えて説明する事も必要で、絵画という作品に潜む情報量の多さを自然と再確認する作業だ。
当てる人になったプレイヤーは新しい額縁の中で紡がれる新しい物語を想像し、口に出し、芸術家役と対話する。もちろんゲームなので言い当てる事が目的になるけれど「相手はどう思ったのか?」をゲームを通して考える。
絵画という共通のお題をベースにしているけれど、そこで交わされるのは人との対話の根本的な真理だ。「相手の考えを推し量り、自分の気持ちを相手に伝える」という普段あまり意識をしないで行われる対話という行為を、じっくりミレーはゲームを通して丁寧に再現していると思う。ゲームの根底を支えるロジックはディクシットなどのゲームと共通する他者との差異を楽しむという、コミュニケーションの基本を踏襲している。
コンポーネント
コンポーネントは非常にシンプル。
サンプル名画6枚(両面3枚)
特性額縁・おめでとう賞状・芸術家コイン
バラの宝石
気持ちカード36枚(6枚1セット×6)
『じっくりミレー名画BOX vol.1』
発売済みのじっくりミレー拡張には追加絵画がなんと20枚も入っている。
さらに青バラが1つと、あたらしい気持ちカードが1種類追加されるよ。
青いバラと気持ちカード。青いバラは芸術家が「その見方は大好き!」と思う回答をした人に贈る特別なバラ。新しい気持ちカードもユニークです。
じっくりミレーの遊び方
準備
準備もとても簡単だ。子供でもなれたらささっと出来てしまう。
- 名画を1枚選び、テーブルの中央に配置する
- 参加するメンバーの中から1名、芸術家役を選び芸術家トークンを渡す
- 芸術家役のメンバーは以下のものを手元に用意する
特性額縁&おめでとう賞状・バラトークン20個
- 各プレイヤー(芸術家も)は気持ちカードをワンセット受け取る
手番で行うこと
まず芸術家役のプレイヤーの手番となるよ。
- 芸術家役のプレイヤーは名画の中の人を選び、特性額縁を置く
- 選んだ人の気持ちにあった気持ちカードを1枚裏向きで置く
当てる役になった人が順番に、芸術家役が選んだ人の気持ちを想像し、それにあった気持ちカードを選んで手元に伏せておく。
全員がカードを伏せたら、順番に「なぜそう思ったのか」を話していき、最後に芸術家が伏せたカードを表にして答え合わせをする。
の、覗き見してるのバレへんやろか....とか。
正解したプレイヤーに芸術家役のプレイヤーはバラの宝石を贈る。芸術家役の持っている額縁が全て使われたら、ゲームは終了するよ。一番多くバラの宝石を獲得したプレイヤーにおめでとう賞状を送る。
想像は妄想。そして戒め。
妄想や想像はぼっちのホビーBlogのお得意分野ではあるが、子供を相手にするときは注意しなければならないかなと思っている。おふざけは楽しいのだけど、あまり関連性の薄いこじつけ(よくやる)は、多分このゲームの楽しさをスポイルしてしまうだろうなと。ほっほっほ...これは思わぬ課題だわね・・・
じっくり見る意味
じっくりミレーでは「絵画の中の人の気持ち」となっているけれど、芸術系の作品に限らずともじっくりミレーは成立する。全体の一部を切り取るという行為で視点を限定することで「見る」から「視る」への転換を体験できるというのはとても貴重なことだ。そもそもゲームだから正解という正解がない。その自由さを楽しむというのは、ビジネスにおけるブレインストーミングのような効果を生む。じっくりミレーにはそれを体感できる力があるように思う。子供向けのアートワークをまとっているけれど、実は大人が真剣に遊ぶのがとても良いんじゃないかと思ったりする理由だ。
拡張Box1には猫の気持ちを想像する絵画もあるよ
また、じっくりミレーの面白いところは、普段の生活の中で漠然とみているものの細部にフォーカスを当てることで生まれる意外性にある。参加したプレイヤー全員の視点でコミュニケーションを行うため、多様性への気づきなども得られる。大人でも意識しなければ見逃すような事が、じっくりミレーでは気がつく事ができるかもしれない。「でも」や「いや、それは」など、普段口にしがちな否定的な感情を捨てて遊んでみたい。
まとめ
一言で言うならば、じっくりミレーは深い。深いのだ。絵画の愉しみ方としては細部を見て、想像したり論じたりという事はこれまでも行われているけれど、あくまで絵画を理解するという視点で説明されている事が多いのが実情に思う。
しかしじっくりミレーならそんな小難しい事は抜きにして、楽しく絵画に親しむ事ができる。作品に触れたり見たりするだけなら、本来は好き嫌いだけで楽しんで良い。その1つの答えとして「じっくりミレー」は十分に成立しているし、なにより難しくないのが良い。絵画は難しい、芸術は難しい、と感じた事がある人には是非遊んでもらいたいボードゲームだと思う。じっくりミレーは、良い。きっと絵画を見る事が楽しくなるに違いない。
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