ブラッディ・イン拡張:旅の一座のプロローグ
私の宿は新しい客を迎えている。かれらは華やかで旅慣れていた。
宿の外に荷台を置き、そこで焚き火をくべながら旅の疲れを癒している。
旅の一座の座長は部屋がいっぱいなら荷台で寝ると言って来た。
あいにく部屋は彼ら全員を泊めるほどの空きがなかった。
何人かは外で眠ってもらうことになるかもしれない。
いや、部屋でも外でも、あまり関係はないか。
じきにみな、同じ土の中で眠ることになるのだから.....
さぁ旅人たちよ、我がブラッディ・インにようこそ。
ボンソワール。コモノです。
一昨年の夏。「ブラッディ・イン」というボードゲーム のレビュー書きました。
その書き出しはこうです。
その夜は霧が出ていた。
私は今、埋めている。
この不幸な自分の人生を、この哀れな旅人の人生を。
この霧は晴れる事がないだろう。
明くる日も、明くる日も。いくばくかの金がもたらす興奮と束の間の後悔。
あの衝撃の夏から1年半。遂にあの惨劇の宿が帰ってきました。 そう、あの血塗られた宿に新たな宿泊者たちが訪れるのです。まさかのブラッディ・イン拡張版が発売されてしまったのですにょよ!!!
す、すまん、取り乱した.....
どんな拡張なのか?今日は開封しつつ、その中をご紹介したいと思いますよ!
〈ブラッディ・インってどんなボードゲーム ?〉
ブラッディ・インはセットコレクション系のボードゲーム。ゲームのテーマがかなり好みの分かれそうな不謹慎系ボードゲームで、自分の経営する宿屋に泊まった客を殺害し、金品を奪い財を成すというゲームだよ。書いていて全く救いのないテーマだけど、実際にペールベイユという村であった凄惨な事件がモチーフになっているのだ。
手札をコストとして払いながら宿泊客を買収したり殺害したり、死体を施設の下に埋めることで金品を奪う。という全く救いの無いラウンドが繰り返されていくボードゲームです。客にはそれぞれ職業による特徴が備わっており、買収時のコストを下げたり埋葬時のコストをゼロにできたりするのです。あなたなら誰を、いつ、どこに.....?
不謹慎なテーマながら悩みどころが多いボードゲームなのですよ。今日はそのブラッディ・インに更なる惨劇をもたらす事になるであろう旅の一座のお話。
ブラッディ・イン:旅の一座
プレイ人数:1〜4人
プレイ時間:45〜60分
対象年齢 :14歳以上(フレーバー的に)
コンポーネント
ブラッディ・インはカードゲームなので、拡張版である旅の一座もカードのみの構成ですよ。中はルールブックと52枚のモジュールカード、4枚の50フラン小切手カードが入ってます。モジュールは全部で3つに分かれていて、全てを同時に使ってもいいし、自由に組み合わせて使っても良いみたい。
モジュール1(旅の一座)
拡張版のタイトルになっているモジュールだぞ。旅芸人の客カード14枚とイベントカード8枚。
旅芸人の客たちは中々個性が豊かな面々である。カードには2つのランクが記載してあって、買収・殺害時のコストと建築・埋葬時のコストが変化するよ。
付添人は買収・殺害のランク3/建設・埋葬のランク1
さらに建物として「荷馬車」(曲芸師の建物がそれ)を建てることができるカードが複数ある。死体が埋まっていない荷馬車は自分の部屋としての機能を持つため、客が泊まるのだ。(自分の部屋扱いになるので客が泊まれば1フラン収入がある!)
こっちがイベントカード。
各ラウンドの旅行者の歓迎フェイズで、旅芸人のカードが初めて宿に入ってきた時(最初の一人)のみオープンになる。そしてイベントはフェイズ3(警察の捜査〜お見送り)の捜査前に、1人でも旅芸人が部屋にいればその効果をまず解決しなければならない。フェイズ3に旅芸人が居なかった場合、イベントカードは破棄されるよ。
あまり歓迎できないイベントばかりな気もするけど、そうでもないのも混じっているのでこれまた悩ましい感じだな。
無論、客たちには泊まった事自体が彼らの人生にとって歓迎できないのだけど....
このモジュールを使用する時はルールに変更が発生するので、詳しくは付属のルールを確認して欲しいぞ。
モジュール2(名士)
地元の名士様たち御一行カード。基本セットにある貴族カードと差し替えて使用する。貴族より名士カードの方がキャラが立っていて個人的には好み。モジュール1の旅芸人カードと同じく2つのランクをもっている。
こちらが名士様たち。
この貴族カードと差し替えるのだな。
貴族の方々が大人しく見えることいったら無い。
モジュール3(ジネット叔母さんの秘訣と裏技)
え、奴らに叔母さんとかいるの!?マジで!
ってのがルール読んだ最初の感想でした。まさかの親族かよ。そうです、極悪な宿屋主人には叔母がいて宿泊客を泊める白い部屋(中立の部屋)を管理していたのです。その叔母が一族の繁栄を願って(間違った願いだがな)プレイヤーにちょっとだけ自分の秘訣と裏技を授けてくれるというのがこのモジュール3のカードたち。
強欲という罪は、このことを指すのだよ?
このモジュールは導入時にプレイヤー間でドラフトを行うよ。なので最低2名居ないとあまり面白さが発揮できない。ソロプレイ時に見ないで3枚配布してもいいっちゃいいのだけど、それもなんか味気ない感じなので、多人数向き。カードはどれもあれです、ジネット叔母さんはかなりの悪(ワル)であるな。。。あ、ただし叔母さんはさらに強欲なので、タダでとはいかないっぽいぞ。
なんだよ叔母さん。。。叔母さんのドケチっ。(´;ω;`)ブワッ
旅の一座:プレイレビュー
さらっと拡張入れて遊んだ感じなどなど。ジネット叔母さんのアイテムはひとまずおいておいて、今回はモジュール1と2を入れて遊んでみたよ!モジュール1はイベントカードを使わなくても遊べるのだけど、せっかくなので入れてみた。
ブラッディ・イン自体が久しぶりだったので相変わらずの下手っぴ感もろだしですが、やはり旅の一座というタイトルだけあって追加されたキャラクターの雰囲気がなかなかグッとくる。カードのデザインはやっぱり大好きだな。
モジュール1の旅芸人のキャラクターは純増なので、まず手札に何を入れる(誰を買収するか)に悩ましい。公開されたイベントカードが自分にとって良いものであればスルーでも良いけど、マイナスのイベントなら可能な限りパスしたいので宿泊客の旅芸人が1名であることを常に願うスタイル。
と、まぁそんなにうまく運ぶわけでもなく、70フランまで膨れて居た小切手が前半終了間際に30フランまで減るとかいう酷いイベントにも巻き込まれ。。。イベント把握しとかないとアレだねぇ。(。-з-)チキショ...
まれにいいイベントだってあるけどさ。(いいのだろうか...?)
悪事を働いているとこういう報いを受けるのかと、、、気を取り直して殺害と埋葬に励む。イベントにヒヤヒヤしながらモジュール2の名士たちも上手く使ってみようとこころみるけど、効果に目移りしてなかなか思うように行かず。
最後に無理やり礼拝堂を建設して、墓場の護人みたいなプレイに終始し、終わってみれば120フランという結果でした。アァこんなに手を血に染めたっていうのに!( ̄┓ ̄)ゲフッ…
ブラッディ・イン拡張:旅の一座まとめ
久しぶりに遊んだ(いつものソロプレイだぞ)ブラッディ・インでしたが、やっぱりこのボードゲームは好きである。そして今回の拡張:旅の一座も、やはり悩ましいポイントが増えるという意味で大好きだ。
・程よく悩ましい点(手札と場札管理に集中できる)
・美麗なカードデザインと悪趣味なフレーバー
手軽に始められるのだけど、もっちり悩ましくて(単にコモノが下手だという疑いはあるが)遊んだ満足感は高いのだ。ブラックなフレーバーは人によっては嫌いな方もいるだろうが、コモノは好きなので無問題。旅の一座も賑やかく、古き良きフランスっぽい雰囲気はアートワークと相まってグッドだと思うぞ。
フレーバー的に子供に絶対あそばせるものでは無いので、完全大人仕様のボードゲーム。友達同士、ホムパとかの後にワイワイ盛り上がるのにはとってもちょうどいいと思う。ボードゲームに慣れて居なくてもルールも難しくは無いのでビギナーさんにも安心だな。ぜひモジュール3を入れて遊ぶとよいな。
デリカテッセンとか観た後に遊ぶとより盛り上がるのではないだろうかな。
ま、海外旅行に行って知らない片田舎の宿とかには泊まっちゃダメなんだな。 そうだな?
【ブラッディ・イン拡張:旅の一座|販売・再販情報】
2022/03月再販予定!